2026.01.06_重点支援地方交付金を活用した水道料金減免
国の「重点支援地方交付金」に「水道料金の減額」が推奨事業メニューとなっている。
これを受けて水道料金の減額を行う水道事業体が出ている。
これは、2025年11月21日に閣議決定された「『強い経済』を実現する総合経済対策~日本と日本人の底力で不安を希望に~」において、物価高騰の影響を受けた生活者は事業者を引き続き支援するために重点支援地方交付金を拡充することに基づく、具体的な推奨事業メニューの中で水道料金の減額に対応するというものである。
これって「変」だと思うのである。
水道事業は、水道事業者が安全な水を安定して供給することを受けて受益者が水道料金を支払うという「給水契約」(双務有償契約・諾成契約)に基づいている。また「給水契約」の申し出は正当な理由がない限り拒んではならないこととなっている。(水道法第15条)
なので、日本国民であろうとなかろうと、水道事業体の住民であろうとなかろうと、給水契約の申し出を受けたら拒めないのである。
水道事業は地方公営企業である。
地方公営企業の基本は「受益者負担」にある。その中で、受益者負担とせず「税負担」とするものは、地方公営企業法第17条の2「経費の負担の原則」に定めていて、基本的には「経営に伴う収入をもって充てることが適当でない経費」(1号該当経費)と「能率的な経営を行ってもなおその経営に伴う収入のみをもって充てることが客観的に困難であると認められれる経費」(2号該当経費)となっている。
この制度は割と厳格に運用されてきているのであるが、コロナのころから水道料金の減額を行ってこれに税金を充てるという施策がでてきた。
以上のことから、国民・住民のために使用されるべき「税」の恩恵を水道事業の契約者(受益者)が受けてよいのかという疑問がある。
税を自治体の住民に使用するのであれば、なんとか恩恵の公平性があるのだが、給水契約者を対象とすると公平性に欠けるのではないだろうか?
具体的には私は自宅と事務所の二つで水道料金を支払っているが、今回もし減額が行われれば申し訳ないが恩恵が大きくなるのである。これっていいの?と思います。
次には、水道事業に対する税負担は厳格に運用されて来ていたのにかかわらず、かくもあっさりと税負担を認めてよいのか、という疑問。
だったら、その分、もう少し水道事業への継続的な税負担を考えてもいいのではないだろうか。
例えば「能率的な経営を行ってもなお・・・」というところだが、小規模水道事業はどれだけ能率的な経営を行っても、人口減少=水量減少=収益減少となっており、水道事業本来の目的である清浄(安全)と豊富(安定)を確保することが難しく、更には低廉な水の供給を図るため水道料金の値上げも行えない状況となっている。
非効率的な地域への給水をやめ能率的経営への転換は水道法からも道義的にもできないのである。これに税を投入することはどうなのか?考えてほしい。
ということで、水道料金の減額は政策立案能力の欠如の顕れではないかと思うのである。
「まあこんなものも含めておけば」「じゃあこんなもんで」「とりあえずこの形で」という考えで含めたのではないかと・・・「まあ・じゃあ・とりあえず」政策ではないか。
生活者支援というならば、もう少し考えてほしい。
水道料金の減額で生活は楽になるのだろうか?
もう一つ申し上げれば、政治・行政は民のセーフティネットを確保することにあると思うのだが、このセーフティネットが以前より高くなってきていると思う。
セーフティネットがニーズ(必要)に応えるとしたら、ウォンツ(要望)まで応えようとしている。これをポピュリズムと呼ぶのか?それとも甘えを認めているのか?・・・
今回の施策が本当に評価されるのは数年後になると思うのだが、過去の施策を振り返って評価するということは政治と行政にとって最も苦手とすることなので、ただこういうことがあったね、で終わるのかと思うと悲しい。
私の住んでいる市では、こんな政策をとらずに、もっと効果的で斬新なアイディアが生まれることを望むものである。
このブログへのコメントはmuragonユーザー限定です。